法人向けレンタルサーバーの価格相場

一般的なレンタルサーバー(共用サーバー)のなかでも、企業や法人向けのサービスについては、バックアップやセキュリティなど多くの機能が強化されています。

ただし、そのぶん個人向けのサービスに比べると料金はやや高くなる傾向にあります。とはいえ必要以上に高額なプランを誤って契約してしまわないように、大まかな価格相場を知っておくことは大切です。

なお個人利用での場合の価格目安については、個人向けレンタルサーバーの価格相場の記事を参考にしてください。

年間費用をグラフで比較

まず代表的なビジネスサーバー7社の実際の料金をグラフで比較してみます。下記は契約した最初の一年に必要となる費用(初期費用と月額12ヶ月分)の合計を示したものです。
代表的な法人向けサーバー7社の価格比較グラフ
※画像クリックで拡大します。
※括弧内はプラン名です。
※価格は税込換算に統一しています。また初期費用および月額は、年間契約時の料金を適用しています。
※WebArena SuiteXについてはクレジットカード払いを利用した場合の価格です。

なお対象とした7社については、一定の運営実績があり、また企業(あるいはその母体)が大手であるところを中心にピックアップしました。というのも大手サービス間では価格競争が起こりやすく、現在の価格相場を把握するのに向いているためです。
※それ以外にも、大手は時代とともにサービス内容が順当にスペックアップしていく傾向が強く、(マイナーなサービスを選ぶよりも)おすすめという理由もあります。

またプランについては、機能が著しく制限されているような特別なものは省いた上で、(管理人の私見ですが)もっとも定番であろうプランを選定しています。

月額1500円~2000円前後が相場

前掲のグラフにも記載のとおり、初年度の年間費用は平均すると26,179円となります。ただ実際にサービスを選ぶ際には、年間費用よりも月額を目安として見てもらうと分かりやすいと思います。

月額の最安値はNTT系列のビジネスサーバーであるWebArena SuiteXの1,470円です。一方で最高額はCPIですが、これは非常に突出(月額4,000円以上)しているためいったん考慮の外に置くとして、その次はシックスコアの月額1,944円です。この辺りが価格の上限目安になります。

そのほかのサービスもこの「月額1500円~2000円前後」の圏内に収まっています。よって簡単に言ってしまうと、これが現時点(2016年現在)での法人向けレンタルサーバーの価格相場と言えます。

さらに低価格のサービスはないのか

上記の料金はあくまでもひとつの目安ですから、なかには法人向けレンタルサーバーであってもさらに低価格のものも存在します。ただし、そうしたサービスは厳しい機能制限などが伴っていることがほとんどで、使う上で注意が必要なので推奨していません。

たとえば、カゴヤはS11という月額864円のプランもあります。しかしS11はメール機能を一切使うことができません。同様にして、WADAXではTypeB、iCLUSTA+ではミニという月額1000円程度のプランもあるのですが、ディスク容量が少なかったり、メールアドレスが10~20個しか作れないなど、スペック的に厳しい部分があります。

もちろんあえてデメリットも分かった上で選ぶ分には問題ありませんが、月々500円程度上乗せするだけでも一通り機能が揃ったレンタルサーバーが利用できます。よほど徹底してコストを削減したい場合でなければ、極端な低価格プランは選ばない方がいいでしょう。

高額なプランはなにが違うのか

特殊な用途に特化するパターン

なお上記の価格相場を遥かに上回るプランも一部存在します。そうした高額なサービスでは一通りの機能を揃えた上で、さらになにかしらの用途に特化しているパターンが多いです。

分かりやすいのはグラフにも載せたたCPIで、これはKDDIグループ運営のビジネスサーバーです。このCPIでは、Webサイトのテスト環境を提供してくれる機能がついています。しかもテストから本番環境へと一発で移行することができるなど、多くのWebサイトを制作するユーザーに特化した内容を提供しています。

そのほかWebArena SuiteXでも、グラフに載せたスタンダードプランとは別に、メールの送受信の安定性に特化したメールプレミアムプラン(月額4,838円~)というのものがあります。

単純に容量などが増えるパターン

またそれ以外には、機能そのものは低価格プランとほぼ変わらないが、使えるディスク容量やデータベース(DB)数などが単純に増えるパターンがあります。たとえばシックスコアでは(グラフ掲載の)S11プランではディスク容量50GBですが、上位のS21になると価格・容量・DBがいずれも2倍になります。

とはいえ、近年では低価格でも50GB~の大容量が利用できるところが増えているため、一般的なWebサイト作りであればまず容量不足に困ることはありません。通常は月額1500円~2000円の範囲のプランでもまず問題ないと言えます。

まとめ ~結局どれを選べばいいのか~

最後にまとめとして、(適正な価格の範囲にあるプランのなかでも)とくにおすすめのサービスについて触れておきます。

一番選んで失敗が少ないと思われるのがシックスコアのS10プランです。理由としては、サーバーの安定性・バックアップ機能・セキュリティなどのトータルバランスが非常に優れているためです。

サーバーの安定性については比較した7社のなかでもトップクラスで、稼働率実績が100%に限りなく近いです。またバックアップも過去7~14日分が自動保存という安心設計です。価格面ではやや割高な部類に入りますが、月額500円程度のプラスに対しては十分すぎる見返りがあります。

またコストパフォーマンスを重視する場合には、WebArena SuiteXのスタンダードプランもおすすめです。月額1500円以下という低価格、それでいながらNTT系列のためビジネスの場における信頼性も得やすく、もちろん各種スペックも高水準です。

なお現時点ではあまりおすすめしないサービスとしては、iCLUSTA+を挙げておきます。iCLUSTA+は管理画面の使い勝手についてあまり評判が良くないほか、データベースの管理ツールなども独自のものを採用しているなど、利便性にやや難があるためです。