このホームページ「ServerKurabe(サーバー比べ)」では、レンタルサーバーの選び方についても様々な記事を公開しています。ただ多少の知識が前提になっている記事もあるため、本当に初心者の方が読んだ場合には難しいと感じてしまうかもしれません。
そこでここでは、超がつくほどの初心者にも理解してもらえることを目指して、できるかぎり分かりやすく丁寧なレンタルサーバーの選び方を解説します。
目次
最初に(登場人物の紹介)
親しみやすくするために、この記事に関してはネコくん&クマくんという2人のキャラクターの対話形式で解説を進めていきます。
ネコくん。今回の質問役。
普段は無料ブログでキャットフードの食べ比べ日記を書いています。
クマくん。今回の解説役。
何年も前からホームページやブログをいくつも運営していて、レンタルサーバーも昔から使っています。
※アイコン画像はIconpon様のサービスを利用して制作しました。
ホームページ公開のためのパソコンが「ウェブサーバー」
はじめてのレンタルサーバー
クマくん、ちょっと相談があるんだけどいいかな?
じつは「レンタルサーバー」っていうのを借りたいんだけど、どう選んでいいか分からなくて困ってるんだ。
相談は構わないけど、どうしてレンタルサーバーが必要になったの?
僕がキャットフードの食べ比べブログを書いてるのは知ってるよね。いままではずっと無料で使えるブログサービスを使ってたんだけど、最近コメントで「無料のブログはなくなってしまう危険もありますよ」って聞いて怖くなったんだ。
ふむふむ。
それで自分でも色々調べてみたんだけど、どうもレンタルサーバーっていうのを借りてそこでブログを動かせばいいみたいなんだ。ただ、どこを選んでいいのかまるで見当がつかなくて。
なるほど、状況はよく分かったよ。
クマくんはたしか、いくつも自分のホームページやブログを持って管理してたよね。色々と教えてほしいな。
ホームページはなぜ見えるのか
いきなり「レンタルサーバーとは…」って話に入る前に、まず「ホームページやブログはなぜ他の人に見てもらえるのか」を考えてみようか。
たとえばということで、なにかひとつホームページを見てみよう。
(画像引用元:Yahoo!JAPAN)
あ、Yahoo!だね。僕もよくニュース見たりしてるよ。
じゃあここでひとつ質問。なぜこのホームページを僕らはいま見ることができてるのかな?
このホームページに書かれている文章も、使われている写真も、べつに僕やネコくんが作ったり保存したりしたものじゃないよね。それなのに、どうしてこうやって他の人が作った文章や写真が見えるんだろう?
なんでって……それはインターネットのおかげじゃないかな。インターネットって他のパソコンと繋がるものだよね。
うーん、その答え方だけだとちょっと問題があるよ。だってよく考えてみて。いまの言い方だと、インターネットに繋がってるパソコンの中身はなんでも見えてしまうように聞こえるよ。もしそうだとしたら、ネコくんのパソコンの中身も他の人に見えてしまうことになる。
わ、それは困るなぁ。
そうだよね。だから実際には(ウイルス感染等がない限りは)インターネットに繋がってるだけで、パソコンの中身が勝手に他の人から見えてしまうことはないんだ。
じつはインターネットでは「これは他の人に公開するためのパソコンです」っていうのを決めて、ホームページの文章や写真はそこに置くっていう決まりがあるんだ。
へえー、そうなんだ。ちゃんと公開するための専用の場所があるんだね。
この他の人に公開するための専用のコンピューターを「ウェブサーバー」っていうんだ。
あ、いよいよ「サーバー」って単語が出てきたね。
ウェブサーバーを借りるのが「レンタルサーバー」
レンタルサーバーと自宅サーバー
さっきまでの話をまとめると、ホームページを公開しようと思ったら、そのための「ウェブサーバー」が必要って話だったよね。
ひょっとして、そのウェブサーバーをレンタルできるのが「レンタルサーバー」なのかな?
いい勘してるね、そのとおりだよ。
でもさ、それって借りる以外に方法はないのかな?
たとえば自分で用意できたら、レンタル料もいらないよね。
そういう方法もあるよ。自分で用意したパソコンに設定を行ってウェブサーバーにするんだ。この場合は「自宅サーバー」って言うんだ。ただし設定や管理にはたくさんの専門知識が必要だし、電気代含めて維持費用もかなりかかるんだ。
それにいまはレンタルサーバーの料金がすごく安くなっているから、初心者が自宅サーバーを選択するメリットはまずないかな。
契約してもパソコンは送られてこない
ところでネコくんはサーバーをレンタルしたら、パソコンが一台どーんと送られてくるんだと思ってるんじゃないかな?
違うの? だってレンタルDVDにしろレンタカーにしろ、借りるって言ったらそれをしばらくは手元に置いておけるってことだよね。
普通はそうだね。でもレンタルサーバーは違うんだ。契約してもパソコンは届かないんだ。それどころか一切なんにも物は送られてこない。
え!? じゃあどうやってそのサーバーを操作するのさ。
そこでインターネットが役に立つんだ。ネコくんは少し前に自分で「インターネットは他のパソコンと繋がってるものだ」って言ったよね。それを使うんだ。
普通のパソコンはインターネットに繋がってるだけで勝手に操作されることはないようになってる。だけどウェブサーバーとして設定されたコンピューターなら、インターネットを通じて操作できるんだ。
そういうことか…。あれ、でもちょっと待って。それだと誰でも勝手にそのサーバーを操作できちゃうことになるよね。
心配ご無用。サーバーにはちゃんとパスワードが設定されていて、それを知っている人じゃないと操作はできないようになっているんだ。
言い換えると、レンタルサーバーを契約するってことは、その操作のための自分用のIDとパスワードを発行してもらうってことなんだ。だから契約が完了すると、すぐにメールでIDとパスワードに関するお知らせがくるよ。
※お申し込み後メールのサンプル画像(実際のものとは一部修正を加えてあります)
ふむふむ、仕組みは分かったよ。だけど、ようするに遠隔操作みたいなことをするんだよね。そんな難しそうなこと、僕にできるかなあ……。
いや、大丈夫だよ。サーバーを管理する側はともかくとして、契約して使うだけの僕らからしたら、ウェブサーバーっていうのは基本的にはホームページのデータを置いておくための場所なんだ。だから最初は「データを送る」って簡単な操作だけ覚えればいいんだ。
そっか覚えることが一つだけなら安心だね。
まあ、実際には多少はほかの操作もあるんだけど、そういったことも管理画面があるから平気だよ。
管理画面?
うん。レンタルサーバーでは、サーバーに関する操作のほとんどが専用の管理画面から行えるんだ。コントロールパネル、という言い方をすることもあるけど。
※レンタルサーバーの管理画面のサンプル
ネコくんは無料のブログサービスを使って日記を書いていたけれど、そこでも記事を書くときには管理画面みたいなものを使ってなかったかな。
ああ、そういえば。毎回「記事を書く」ってボタンをクリックしてたよ。あとは迷惑コメントを消す時には「コメントの管理」ってボタンとか。あれも管理画面なんだ?
そう。サーバーの管理画面も基本は同じなんだ。目的とするボタンをクリックしていくだけで、操作は完了。だから初心者でも安心だよ。
ブログ感覚で使えるんだ。それなら僕にもできそうかな。
無料サーバーを初心者におすすめしない理由
ところで一つ質問してもいいかな?
レンタルっていうからには、やっぱり料金を払って使うものなわけだよね。
うん、そうだね。
でもさ、自分で色々調べてたときに「無料サーバー」っていうのをたまに見かけたんだ。それを使えばタダで使えたりしないのかな。
ああ、たしかにそういうのもあるね。ただ、個人的には無料のものはあまりおすすめしないんだけど。
それはまたどうして?
大きく分けると二つの理由があるんだ。
まず一つ目。レンタルサーバーに限らないことだけど、インターネット上の無料サービスっていうのはいつなくなるか分からないんだ。個人が趣味でやっているだけったり、広告だけが収入源だったりするから、どうしても長続きしにくいんだ。
もし自分の大切なブログがある日消えてしまったら、すごく困るよね。
たしかに困るなあ。
でもさ、それは有料のサービスだって最終的には同じことじゃないの?
たしかにそうだね。でも、そうはいってもユーザー数が多くて採算もしっかり取れているようなメジャーなレンタルサーバーを選んでおけば、そういうリスクは大きく減らせるよ。
もうひとつの理由っていうのは?
もうひとつは様々な面で制限がかかりやすいってことかな。たとえば広告を非表示にできなかったり、サポートが受けられなかったり。そのほか機能やスペックの面でも、無料は有料に比べるとできることがどうしても少なくなるんだ。
んー、でも……広告つきませんって無料サーバーも見かけたよ。
うん、もちろんそういうところもあると思う。でも、そのかわりにサポートがなかったりとか、無料サーバーだとどこかにデメリットができるのが普通なんだ。そうしたデメリットを踏まえた上で使える人ならいいけれど、初心者にはあまりおすすめしないかな。
(参考記事:無料サーバーと有料レンタルサーバーの違い)
うーん、なるほど。そうなると、あとはやっぱり値段だなあ。
実際のところ、月々どのぐらいのお金がかかるもなの?
レンタルサーバーとお金の話
大まかな料金相場
そうだね。そろそろ料金の話に入っていこうか。
あくまで僕なりの意見だけど、安くてお手頃価格のものなら毎月250円ってところかな。まあ、安さを追求するなら月々100円ぐらいのもあるけど。
100円!?
思ってたよりもずっと安いからびっくりしたよ。もっと何千円もするのかと思った。
そんなことないよ。僕は複数のブログとかをまとめて管理するためにちょっと高性能なものを使ってるけど、それでも毎月1000円ぐらい。いまはその程度の価格なんだ。
(参考記事:個人向けレンタルサーバーの価格相場)
そっか。ちょっと安心したよ。
でも、どうしてそんなに安く使えるのかな? 現物が手元に来ないとは言っても、高性能なパソコンを借りるようなものなのに。
お、いい質問だね。じゃあそこをしっかり説明しておこう。
共用しているから低価格で使える
これまで黙っていたけれど、もうひとつ大きなポイントがあるんだ。じつはレンタルサーバーっていうのは、一台のコンピューターを何人もで同時に使っているんだ。
そんなこと可能なの?
うん。もともとコンピューターっていうのは昔は高価なもので、一台に幾つもの端末を繋げて複数人で同時に使っていたぐらいなんだよ。パソコン(パーソナル・コンピュータ)が普及したせいで、一人一台ってイメージが強くなっちゃったけど。
だから、いまでもサーバー用途のコンピューターでは複数ユーザーの処理を同時に行うのは当たり前のことなんだ。
理屈は分かったけど、でもなんだか怖いなあ。
みんなで一緒に使うなんて、僕のデータを勝手に消されたりするんじゃないかな。
大丈夫だよ。ひとりひとりのデータはしっかり隔離されていて、自分のデータは自分専用のIDとパスワードを知っている人にしか操作できない。もちろん誤って他人のデータを操作してしまう心配もないよ。
そっか。でもなんでパスワードをかけてまで皆で分け合って使うんだろう? ひとりずつ別々のサーバーにしたらいいのに。
あ、でもそれだとサーバーもたくさん買わないといけないのか。みんなで一緒に使うなら一台分の予算で済む、と。
……ん? もしかしてレンタルサーバーが安いのって。
大正解。そこが安さの秘密なんだ。
たとえば一台をまるごと貸したら、毎月1万円ぐらいの料金を請求しないと割に合わないレンタルサーバーがあるとするよ。でもこれをもし10人で分け合って使うことにしたら?
そうか。一人あたり1000円ですむんだ。
そう。そしてもし100人で一緒に使うことにしたら、今度は100円ですむことになる。
なるほど! 安さの秘密が分かったよ。
みんなで一緒に使ってるから安くできるんだ。ひとりあたりの料金が安くても、使ってる全員から集めるからちゃんと採算が取れるんだね。
そのとおり。だから一般にレンタルサーバーと言ったら、こうやってみんなで分け合って使う種類のものを指すんだ。正しい用語だと「共用サーバー」または「共有サーバー」っていうんだ。言葉の意味どおりだね。
今回ネコくんにおすすめするのも、この共用サーバーだよ。
共用サーバー以外もあるけれど
でも、その言い方だと他にも種類があるみたいに聞こえるよ。
うん。じつは他にも、みんなと共用せずに自分ひとりだけで使う専用サーバーというのと、あとは新しい形態であるVPSというのもあるんだ。
ただし、専用サーバーは月数千円~数万円と非常に高額だし、VPSはサーバー管理に関する知識が必要だから初心者向けではないんだ。ネコくんをはじめ、初心者にとっては「レンタルサーバー≒共用サーバー」だと考えて大丈夫だよ。
よし分かった。じゃあクマくんのおすすめどおり、共用サーバーでホームページを公開することにするよ。
でも、話が戻るようだけど価格は100円~1000円とわりと幅があったよね。実際のところ、どのあたりを選べばいいんだろう。
よし、じゃあいよいよ選び方の話に入っていこう。
レンタルサーバー会社の基本的な選び方
無数にあるレンタルサーバーから絞り込む方法
ところでクマくん、レンタルサーバーの会社ってどのぐらい種類があるのかな? あんまり数が多いと、選ぶのも大変そうだけど。
そうだなあ、小さいところも入れると日本国内だけでゆうに100社は超えるんじゃないかな。
ひゃ、ひゃく…!? そんなにあるんじゃ選びきれないかも。
せいぜいテレビを買う時みたいに、幾つかの有名メーカーから選べばいいのかと思ったよ。
お、でもネコくんはいま良いことを言ったよ。たしかにレンタルサーバーを提供している会社はたくさんあるんだけど、やっぱり有名どころや大手といえるところから選ぶのがおすすめなんだ。
やっぱりそういうものなんだ。でも自分で言っておいてなんだけど、本当にそれでいいのかな? こういうコンピューター関連のものって、小さな会社や新興企業でもいわゆる隠れた逸品みたいなのを作ってるところがありそうだけど。
たしかにそういう会社もあるかもしれないね。ただ幾つかの理由から、やっぱりある程度は有名どころをおすすめしてるんだ。一番大きな理由は、レンタルサーバー事業が今後も安定して続く見込みがあるから、だね。
ようするに、会社が潰れてしまう心配が少ないってことか。
もちろん絶対に潰れないという保証はないけれど、リスクはぐっと減るかな。
それとホームページやブログっていうのは独自ドメインっていうのに紐付けをしておけば、アドレス(URL)はそのままでレンタルサーバー会社だけを乗り換えることもできるんだ。だから万が一の場合にも対応できるよ。
そっか。ちなみに潰れにくい以外にも、他にも大手のほうが良い理由ってあるの?
サービスの品質が保たれやすいっていうのもあるかな。たとえばマイナーな会社なんかだと、何年ものあいだ、レンタルサーバーの性能や機能がまったく変わらない、なんてこともあるんだ。
これに対して大手だと予算もあるし、なによりライバル企業との競争も激しいから、利用者が逃げ出さないように、ひんぱんに性能向上や新機能追加を行ってくれる傾向にあるんだ。
なるほど。携帯電話とかでも、やっぱりドコモやソフトバンクが競い合って新製品や新サービスを出してくるのと同じだね。
うん、そのとおりだね。ただ携帯電話だと新製品に買い替えるのにお金がいるけど、レンタルサーバーの場合は利用者の手元にサーバーがあるわけじゃないし、事業者側で勝手にサーバーを良いものに変えてくれることも多いんだ。
それはいいなあ。でもさ、有名どころや大手かどうかをそもそも見極めるのってどうしたらいいのかな。
一言でいえば運営実績かな。もう少し具体的に言うと、利用者数とサービス運営年数。この二つが一定水準以上のレンタルサーバーなら、選んで大失敗という可能性はかなり少なくなるよ。
個人向けとビジネス向け
ちなみに共用サーバーについてだけど、大きく分けると個人向けとビジネス向けという2つの方向性があるんだ。
ビジネス向けっていうのはなんとなく分かるかも。
会社のホームページみたいなのを置くのに向いてるってことかな?
そのとおりだよ。ビジネス向けのレンタルサーバーの場合、データが消えないようにとバックアップが厳重に取られていたり、トラブルに備えての電話サポートが手厚かったりする傾向があるんだ。
なるほど。まさにビジネス向けだね。
でも、じゃあ個人向けっていうのはどういう特徴があるんだろ?
個人向けっていうのは、ちょっとした趣味のホームページを公開したり、ブログを運営したりといった用途に向いたサービスだね。
いちばん大きな特徴は、なんといっても値段が安いことかな。月数百円とかでも色々と選択肢があるぐらいに低価格なんだ。そのぶん、ビジネス向けに比べると、バックアップやサポートといった要素はやや弱くなるけれど。
今回みたいにブログ運営っていう目的だと、個人用途でいいのかな?
そういうことになるね。じゃあここまで絞り込んだところで、次からは具体的にレンタルサーバー会社の名前を挙げて……っと、その前に、もうひとつだけ大事なしておかなくちゃいけなかった。ワードプレスの話をしておかないと。
わーどぷれす?
ブログ作成ソフト「ワードプレス」が使えるサービスを選ぶ
ワードプレスってなんだろう?
ワードプレスは、英語で書くとWordPressっていう綴りだよ。これはブログを作って管理するためのソフト(アプリ)だと思ってくれたらいいかな。ブログじゃないホームページを運営することも一応できるんだけどね。
ふーん。ブログ用ソフトだなんて、便利なものがあるんだね。
というよりも、なにかしらのブログソフトを入れないと、レンタルサーバーではブログは運営できないのが普通なんだよ。
えっ、そうなんだ!?
レンタルサーバー(ウェブサーバー)っていうのは、もともとはインターネットでのデータ公開機能しか持ってないからね。ブログ管理とかは本来の機能には含まれないんだ。
ああ、そういえばそうだったね。だからブログ用のソフトを別に入れてあげないといけないってことか。
そのとおりだよ。そしてブログおよびホームページ作成ソフトとして、いま世界でいちばん人気があるのが「ワードプレス」っていうものなんだ。
だからレンタルサーバーを契約するとき、とくに低価格のものを契約するときにはワードプレスの利用条件を満たしているか確認することが大切なんだ。
ワードプレスが使えるかどうかの確認方法
それでワードプレスを使えるかどうかは、どうすれば調べられるの?
レンタルサーバーによっては、機能一覧のページとかにワードプレス対応かどうかを明記してくれているところもあるよ。そういう場合は一目で分かるね。
もしそういう項目がなかったら?
ちょっと英語になってしまうんだけど、かわりに「PHP」と「MySQL」という機能が使えるかどうかを確認してほしいんだ。
「ぴーえいちぴー」と「まいえすきゅーえる」?
英語っぽい名前は覚えにくくて嫌だなあ。
まあこの二つだけだから我慢して。
順番に説明すると、まずPHPっていうのはプログラムを動かすための言語の一種なんだ。ワードプレスはこのPHPっていう言語で動いているから、PHPが使えることが必須条件の一つなんだ。
なるほど。もうひとつは?
MySQLっていうのはデータベースだね。
でーたべーす?
身近なところだと、オフィスソフトのアクセス(Microsoft Access)みたいに大量のデータをまとめておけるソフトってあるよね。ああいうのがデータベースなんだ。
ワードプレスを使うのにもデータベースが必要なんだ?
ブログっていうのは、たくさんの記事、画像、コメントとか無数のデータで成り立ってるよね。だからそういう大量のデータを管理するのにデータベースが必要なんだ。
なかでもワードプレスは、MySQLっていう種類のデータベースを使ってるんだ。
※厳密にはワードプレスは「SQLite」という軽量データベースで動作させることも可能ではありますが、やや特殊な方法であり初心者向けではないため、ここでは除外しています。
ふむふむ。それでPHPとMySQLの両方がいる、と。
必要なのはこの二つだけ?
そうだよ。ただし非常に安いサーバーやプランによっては使えないことがある。だから注意が必要なんだ。
そっか。こういうところで低価格の問題点っていうのが出てくるのか。
もうひとつ気になってるのは、このワードプレスっていうソフト自体はいくらなのかな? あんまり高いようだと手が出せないけど…。
ごめん、それを言い忘れていたね。
大丈夫、ワードプレス自体は誰でも無料でダウンロードできるんだ。世界中の有志で開発されているものだからね。
へー、そりゃいいや。じゃあ僕もワードプレスを使うことにするよ。
よし。それじゃあそれを踏まえた上で、個人向けレンタルサーバーの具体的なおすすめを紹介していくよ。
おすすめサービス「ロリポップ!」と「エックスサーバー」
じゃあ個人向けレンタルサーバーのおすすめを紹介していこうか。さっそく名前を挙げると、今回紹介するのは「ロリポップ!」と「エックスサーバー」の二つだよ。
あ、二つだけなんだ。もっとたくさんあるかと思った。
選び方でも触れたけど、メジャーなサービスという観点で見ると候補は限られてくるんだ。
ふむふむ、料金はどのぐらい?
ロリポップ!は税込で毎月275円だね。一番安いプランだとワードプレスが使えないから、ひとつ上のライトプランっていうのを選んでるよ。
もうひとつの方は?
エックスサーバーは毎月1100円。こっちは値段からも分かるように高いかわりに多機能・高性能なタイプ。安くてお手頃なのと高いけど性能がいいのという二つを選んでみたよ。
まずはロリポップ!の方から詳しく紹介していこう。
個人向けサーバーの老舗「ロリポップ!」(ライトプラン)
まず知名度や有名さでいえば、やっぱりロリポップかな。これまでの利用者数の累計も170万ユーザーを超えてるし。
・ロリポップのレビューと評価
170万! それはすごいね。それだけたくさんの人が利用してるなら安心できそう。
うん。いわゆる老舗の域にいるサービスではあるけれど、それでいて新しい機能を取り入れたり、レンタルサーバーのスペックアップにもわりと積極的だよ。だから昔からユーザー数を伸ばしつづけてきたんだ。
逆に、問題点っていうか、もうひとつのエックスサーバーと比較してのデメリットはあるの?
分かりやすいところでは性能面かな。レンタルサーバーの仕組みのところでも話したけれど、共用サーバーっていうのは一台のコンピュータをみんなで分け合って使ってるんだ。
一人当たりが275円という格安(ライトプランの場合)で使えるってことは、それだけたくさんの人で同時に使ってるってことでもあるんだ。だからCPUやメモリと言ったコンピューターの性能もそれだけ多くの人で共用することになる。
あっ、そうか。パソコンに同時に色んな作業させると重たくなったりするけど、それと似たようなことが起きちゃうのか。
もちろんレンタルサーバー側も色々と負荷を減らす工夫はしているよ。でもそもそもの原理上、どうしても値段が安くて同居ユーザーが多くなるほど、ホームページの表示が不安定になったり重たくなったりはしやすいんだ。
あとは電話サポートがついてなかったり、バックアップを自動でとってもらうには有料オプションを別途申し込まないといけなかったりとか、やっぱり機能的な制限が幾つかあるよ。
うーん、そうか。安いのにもちゃんと理由があるってことだね。
使いやすい万能サーバー「エックスサーバー」(スタンダードプラン)
そしてもうひとつがエックスサーバーだね。じつはこれが僕が使っているレンタルサーバーでもあるんだ。プランはディスク容量以外はほぼ同じだから、一番安いスタンダードプランをおすすめするよ。
※当サイト「ServerKurabe」自体もエックスサーバー上で運営されています。
・エックスサーバーのレビューと評価
でも、一番安いプランでも1000円ぐらいするんだよね?
うん。毎月1,100円だね。ロリポップ!と比べると4倍だから料金が高いことは否定できないかな。ただ、それに見合う価値があると感じてるから使ってるわけだけど。
具体的にはどういうところが気に入ってるの?
レンタルサーバーで大事なのって、ホームページがちゃんといつも表示されること、それから表示が遅くならないこと、この二つだと僕は思ってるんだ。つまり安定性と速度だね。エックスサーバーはこの二点がとにかく優れてるんだ。
うーん……それだけ?
他にも色んなメリットがあるよ。たとえば電話サポートもついてるし、バックアップも自動でとってくれてる(ただし復元時は費用が必要)。ただ、一番の魅力は安定性と速度かな。
安定性と速度かあ……確かに大事だろうけど、それで値段が4倍になるのか。
もちろん無理におすすめするわけじゃないよ。最近はロリポップ!とかの格安プランでも性能が向上してるから、ちょっとしたブログ運営なら全然問題ないと思う。
ただ、なにかのきっかけでアクセスが急増したときに(エックスサーバーよりも)不安定になりやすいのは事実だね。それは値段優先で諦めようと考えるか、それとも重大な機会損失になるから避けるべきと考えるか、このあたりは考え方次第だね。
自分に合っている方を選ぶべきってことか。
うん。時間はたくさんあるからゆっくり考えて。
それから質問があればなんでも聞いてほしいな。
Q&Aコーナー
ディスク容量が少ないと困る?
ひとつ気になってたのはディスク容量についてなんだけど。たとえばエックスサーバー(スタンダードプラン)だとディスク容量が200GBあるんだよね。でもロリポップ!(ライトプラン)だと50GBしかないんだよね。これで大丈夫なのかな…って心配なんだ。
大丈夫だよ。
わ、即答だ。
大丈夫って言える理由はなんでなの?
いままでディスク容量の数値についてはあまり触れてこなかったけど、なぜかというと最近では容量が少なくて困るケースは少ないからなんだ。
「最近では」ってことは、昔は違ったんだ?
そうだね。昔は1GBとか、もっと以前だと100MB(1GBの約10分の1)とかが当たり前の時代もあったんだ。その頃はたしかに注意しないとディスク容量はすぐに不足してしまうし、選ぶ上でかなり重要なポイントだったんだ。
ふむふむ。
だけど最近は大容量ハードディスクの値段も安くなったし、レンタルサーバーの低価格プランでも10GBぐらいはあることがほとんどなんだ。だから、容量面をさほど心配する必要はなくなってきたんだ。
※いまは月額100円前後のプランでも10GB使える。画像はロリポップ!のエコノミープラン
うーん、でもさ。
たとえば僕も家で自分のパソコンを使ってるけど、容量がいっぱいになりそうだったから、こないだ500GBの外付けハードディスクを購入したよ。それを考えると、10GBとか30GBぐらいじゃ不安になるんだけど……。
それは自宅のパソコンには、ファイルサイズの大きなものもたくさん保存するからだよ。たとえば音楽とか動画とか、写真だって何万枚とかの単位で保存したりするからね。
だけど、レンタルサーバーにはそれら全部を置く必要はないよね。
あ、そうか!
ホームページに使うデータだけ置くわけだから、そんなにたくさんの容量は必要ないのか。
そういうこと。ホームページやブログに写真をたくさんのせても、せいぜい数千枚ぐらいじゃないかな。それでもほとんどの場合は数GBぐらいで収まると思う。
※実際のファイルサイズは写真の画質によって異なりますが、ここではホームページ上で用いられることが多い画質を想定しています。
あとは音楽や動画まで必要とする人はほとんどいないし、ネコくんのブログでも別に使う予定はないんじゃないかな?
うん、いまのところ予定はないかな。
あ、でもたまにYouTube(ユーチューブ)の動画を載せたりはしたいかも。
それも大丈夫。自分のブログにYouTubeとかの動画を埋め込んでも、あれは実際にはYouTubeのサーバー側で再生されているんだ。ちょっと言い方が難しくなってしまったけど、ようするにYouTube動画の埋め込みでは自分のレンタルサーバーの容量は減らないんだ。
そうか。それなら安心だね。
うん。ディスク容量は分かりやすい数値だから気にする人も多いけど、とくに初心者の場合は10GBもあれば心配する必要はまずないと思うよ。
もし万が一、容量が足りなくなっても、もっと容量が大きいプランに変更するっていう手もあるしね。
プラン変更に関する注意点
ああ、そのことについても質問したいと思ってたんだ。契約してるプランの変更っていうのはやっぱりできるんだ?
たとえばロリポップなら、いまは月275円のライトプランをおすすめされてるけど、将来的に困ったらもっと上のプラン(例:月500円のスタンダードプラン)に乗り換えたりとか。
うん、できるよ。
ただ、これもレンタルサーバー会社によって多少違いがあるんだ。
プラン変更ができない会社っていうのもあるんだ?
数は少なめだけど、そういうところもあるね。その場合もしプランを変えたかったら、いったん現在のプランを解約して、あらためて別のプランを新規契約するってことになるんだ。
再契約に際して初期費用がまたかかってしまうのはもちろん、手続きやデータ移動なんかもややこしくなるし、ちょっと大変だね。
※契約後のプラン変更ができないサービスもある。画像はさくらのレンタルサーバ。
ふーむ。
逆に、エックスサーバーなんかは(契約更新のタイミングであれば)どのプランへの変更も受け付けてたりするよ。ただ、これはどちらかといえば珍しいかな。
比較的多いのは、現在のプランよりも上位のプラン、つまりより高額なプランへの変更ならできるっていう場合かな。ちょうどネコくんが言ったような、ロリポップでライトからスタンダードと変更するようなケースだね。
そっか、レンタルサーバー会社によってやっぱり色々違うんだね。
そのあたりも含めてよく考えないといけないな。
各種ブログサービスの有料プランについて
それと、なんだか話を振り出しに戻してしまうようで聞きにくいんだけど、レンタルサーバーを契約するんじゃなくて、無料ブログの有料プランを使うっていうのはどうなのかな? やっぱりあんまり良くない?
…………。
あれ、クマくん?
これは、じつはとても難しい質問なんだ。以前は、大手のブログサービスであれば有料プランを契約するのもは悪くない選択肢だ、と考えていた時期もあるんだ。ただ最近では少しずつリスクが高いのかな、と考えるようになってる。
えっと……もう少し詳しく言うと?
わりと大手のブログサービスでも、最近は運営企業絡みで問題が起こったり、いきなり有料プランを完全撤廃したりと大きな動きが多いんだ。アメブロなんかはわりと安定してるけど、商用利用が禁止だったり、独自ドメインが設定できないという大きな問題もあるんだ。
ちょっと話が難しいけど……悩むようならレンタルサーバーの方がいまはおすすめってことかな?
誤解しないでほしいんだけど、これはレンタルサーバーを無理に薦めたいから、ということではないんだ。もしかしたら、いずれこの意見も間違ってたって謝ることになるかも。ただ現状では、僕としてはそう考えてるんだ。
わかった。とりあえず今回は当初の予定どおり、レンタルサーバー利用ということにするよ。
まとめ
無料ブログからの乗り換え先レンタルサーバーが決定
さてネコくん、無料ブログからの乗り換え先はどのレンタルサーバーにしたんだい?
うん、ロリポップ!に決めたよ。
プランはネコくんがおすすめしてくれたとおり、ワードプレスが使えるなかでは一番安いライトプラン(月額275円)だね。
なるほど、良い選択だと思うよ。決めた理由を教えてもらってもいいかな?
エックスサーバーは値段のことがなければ良いサービスだと思うんだ。ただ月1,000円は、やっぱり少し高いかなって。もちろん出せないことはないんだけど。
ただ、僕のブログは趣味でちょっとやってるだけだし、たまに見れなかったり遅いことがあってもいいかなって。正直、かなり悩んだんだけどね。
いい判断だと思うよ。自分が求めるものと値段の釣り合いも大事だからね。将来的に、どうしてもということになれば乗り換えだってできるし。
自分で選ぶことの大切さ
クマくんの本音としては、どっちがおすすめだったの?
じつは僕はこの二者であえてどちらか決めてくれと言われたら、エックスサーバーって答えることにしてるんだ。でもこれは、レンタルサーバー選びの知識が不十分な人にとってはコストパフォーマンス云々よりも、後になってあれができないとか速度が遅いとか、そういう後悔をしてほしくないからなんだ。
うーん、そう言われるとロリポップ!を選んで良かったのか不安になってくるけど…。
いや、重ねていうけどこれは「決めてくれ」って一方的に言われた場合だよ。だけど、ネコくんみたいにちゃんと知識や選び方を自分で学んで、その上で価格と機能の兼ね合いを考えて選ぶなら、ロリポップ!もとても良い選択肢だと思う。
結局のところ、自分で考えるのが大切ってことか。
そうやって自分で考え出した結論なら失敗しにくいし、なにより自分で決めたことだから後悔することも少ないしね。だから、ネコくんは安心していいよ。
本当に色々と助かった、クマくん。
でもまた分からないことが出てくるだろうから、そのときはまた質問してもいいかな。
うん、なんでも聞いてよ。
ありがとう。じゃあこれからもよろしくね。