レンタルサーバー選びにおいても、やはり価格というのは大切な要素です。ここでは大まかな価格帯ごとの特徴と、とくにおすすめのプランについて解説していきます。
なおビジネス用途の価格については、法人向けレンタルサーバーの価格相場の記事を参考にしてください。
目次
大きく5つの価格帯に分類できる
個人向けのレンタルサーバーにおいては、機能やスペックの違いによって料金設定が大きく異なる傾向にあります。そのため一律にこの価格というのを言うのは難しいのですが、かわりに大きく5つの価格帯に分類することができます。
下記の表はそれぞれの価格帯と特徴、さらに当サイトにおける総合評価を示したものです。
区分 | 激安 | 格安 | 低価格 | 中価格 | 高価格 |
---|---|---|---|---|---|
月額 | 100円~ | 300円~ | 500円~ | 1,000円~ | 1,500円~ |
特徴 | 最安値だが 機能制限が厳しい |
低予算ながら 重要機能が揃う |
安さも機能の バランス良し |
高性能&多機能で 幅広くおすすめ |
月額1000円との 差があまりない |
評価 | △ | ○ | ◎ | ◎ | △ |
この表だけでも、大まかには各プランごとの特色がある程度伝わるかと思います。ここから先はさらに深く知りたい方のために、価格帯別にメリット・デメリットを詳しく解説していきます。なお時間がないという方は、まとめの部分だけ読んでいただいても大丈夫です。
※以降、各プランの月額表記については「年間契約時の税込料金」に統一して記載しています。
激安(月額100円前後)
該当するサービス
- ロリポップ!のエコノミープラン(月額110円)
- さくらのレンタルサーバのライトプラン(月額130円)
詳しい特徴
- ○ とにかく安い
- × 機能的に制限が厳しい
- × 初心者向けではない
- × サーバーが不安定になりやすい
月額100円前後のプランというのは、(少なくともメジャーなレンタルサーバーにおいては)最安値の部類に入ります。しかしそのぶん機能的な制限が非常に厳しく、ホームページの制作や管理が大変になりがちです。
現在ではホームページ制作はHTMLコードを手打ちしたり、あるいはホームページ・ビルダーのような制作ソフトを用いて1ページずつファイルを作ることは少なくなりました。かわりに無料ブログ感覚で使える管理ツールを使うのが一般的だし、なにより楽です。とくに有名なものとしてはWordPress(ワードプレス)というツールがあります。
こうしたワードプレス等の管理ツールを使うには、MySQLと呼ばれるデータベース機能が必要です。しかし、この100円前後のプランにおいてはMySQL機能が利用できません。当然、便利なツールの利用も不可能です。そのため、初心者にはじつは不向きなプランとなっています。
また一般的なレンタルサーバー(共用サーバー)では、一台のマシンを複数のユーザーが共同利用しています。その際、安いプランでは採算をとるために、一台のマシンに詰め込まれる人数が多くなる傾向にあります。結果として、同居ユーザーが原因でサーバーが不安定になったりするリスクも大きくなっています。
格安(月額300円前後)
該当するサービス
- ロリポップ!のライトプラン(月額330円)
- スターサーバーのライトプラン(月額330円)
詳しい特徴
- ○ 重要な機能が一通り揃う
- ○ 低予算ならもっともおすすめの価格帯
- × バックアップや電話サポートなどは期待できない
月額300円前後というのは、なるべくお金をかけずにレンタルサーバーを使いたいという方にはもっともおすすめできる価格帯です。
この価格になると、MySQLデータベースをはじめとして、月額100円では使えなかった機能の多くが利用できるようになります。もちろんワードプレスの利用もOKです。年間でも5,000円以内という低予算ながら、一通りの重要な機能が揃います。
またスペック面も価格差以上に大幅アップします。たとえばロリポップ!の場合、ディスク容量が(月額100円の20GBに比べて)8倍の160GBと飛躍的に増えます。このぐらいの容量があると、画像を大量に掲載するようなブログなどもなんの心配もなく運用できるようなります。
例にも挙げたロリポップ!は、個人向け格安レンタルサーバーとしては最大手であり安心して利用できます。サービスも長く運営されてきており、なによりサーバーの性能や機能追加が随時行われてきた実績があります。
最後に注意点です。優秀な価格帯ではありますが、あくまでも格安という範疇を出ていないことは忘れないでください。バックアップ機能や電話サポートが標準でついてくることはありません。またサーバーの安定性や速度も、より上位の価格帯と比べると劣りがちです。
低価格(月額500円前後)
該当するサービス
- ロリポップ!のスタンダードプラン(月額550円)
- スターサーバーのスタンダードプラン(月額550円)
- さくらのレンタルサーバのスタンダードプラン(月額436円)
詳しい特徴
- ○ スペックがさらに上昇
- × 安さも性能もやや中途半端
次が月額500円前後のプランです。この価格帯で大きく違ってくるのは、複数サイト運営がしやすくなることです。
WordPress(ワードプレス)運用に必要なデータベースの作成個数が、この価格帯から30個や50個など大きく増加します(300円前後だと1個しか作れないところが大半)。特殊な設定をしないかぎりは、原則としてデータベース数がそのままWordPressサイトの数に直結します。
もしも最初から幾つかのサイトやブログを作る予定があるのであれば、この500円以上を視野に入れると良いでしょう。
またロリポップ!だと、ここから電話サポートも付くようになります。レンタルサーバー全体の低価格化が進んでいる現在では、なかなかコストパフォーマンスの良い価格帯になってきていると言えます。
ただし、ここまで来ると次の月額1,000円のプランが視野に入ってきます。そして1,000円になると、(ロリポップ!やさくらのような)激安~低価格プランも提供しているサービスと異なり、最初から高性能・多機能に焦点を絞った他社が登場してきます。
中価格(月額1,000円前後)
該当するサービス
- エックスサーバーのスタンダードプラン(月額1100円)
- ConoHa WINGのベーシックプラン(月額891円)
- ロリポップ!のハイスピードプラン(月額825円)
詳しい特徴
- ○ 幅広い用途に使える高性能&多機能サーバー
- ○ 価格に十分見合うスペックでコストパフォーマンス良し
- × 個人向けサーバーとしては安くはない
月額1,000円前後になると、新たなレンタルサーバー会社が参入してきます。その代表格がエックスサーバーとConoHa WINGです。この2社はもともと低価格のプランが一切なく、そのぶん高性能&多機能ぶりに力を入れています。
たとえばエックスサーバー・ConoHa WINGともに7~14世代という長期間のバックアップが標準で付属するなど、格安帯では見られなかったような便利な機能が付いてくるようになります。
スペック面でもディスク容量はさらに増えて200GB程度が利用可能です。ここまで大容量を必要とする機会は少ないかもしれませんが、単純な容量以外にもメリットあります。一人当たりの容量が大きいということは、それだけ一台のマシンに同居しているユーザーも少ないということです。つまりサーバーも安定しやすくなります。
とくにおすすめのプランとしては、エックスサーバーのスタンダードプランを推します。これは実際に当サイトにて現在利用しているプランでもあります。10年以上にわたり使っていますが、安定・高速環境が維持できており、自信をもっておすすめします。
高価格(月額1,500円前後)
該当するサービス
- さくらのレンタルサーバのプレミアムプラン(月額1309円)
詳しい特徴
- △ 基本的には月額1000円帯と大きな違いはなし
最後に月額1,500円前後のサービスについてですが、これらは当サイトしてはあまり強く推奨していません。というのも、2021年現在ではレンタルサーバーが全体的に低価格化してきたこともあり、そもそもこの1500円前後のプランが少なくなってきました。実際、以前はこの価格帯にいたヘテムルなどの代表的サービスも、現在では月額1,000円前後の価格帯に移ってきています。
また、月額1,000円前後と比べても特筆すべき差異が少ないです。やや厳しい言い方をすれば、月額1,000円のエックスサーバーなどがあまりに優秀なために、あえてこの価格帯のプランを選ぶ理由は見つけにくいのが現状です。
なお、これより料金設定が高いものになると法人向けサーバーの範疇になるか、もしくは個人向けでも単純に容量だけを強化したプラン等が多くなります。
まとめ ~とくにおすすめの2つのサービス~
ここまで大まかな価格ごとに特徴を見てきましたが、最初の表でも示したようにやはり月額300円前後と月額1,000円前後のプランが頭ひとつ抜けて優秀になっています。
このなかで安さを重視するならば、ロリポップ!のライトプラン(月額330円)が鉄板です。一時期はややサーバーの不安定さや遅さが問題視されたりもしましたが、2015年から2016年にかけての新サーバー移行でかなり環境が良くなりました。既存ユーザーに対してもこうした環境改善が行われるのは、やはり大手サービスの強みと言えます。
一方で、安定・高速なサーバー環境を確実に維持したいという方にはエックスサーバーのスタンダードプラン(月額1,100円)、またはConoHa WINGのベーシックプラン(月額891円)を真っ先におすすめします。
もちろんロリポップ!などで当初は運営しておいて将来的に乗り換えというのも経済的ですが、想像以上にサーバー乗り換えというのは大変だったりします。本格的・長期的にホームページを運営する予定があるのであれば、最初からエックスサーバーやConoHa WINGを使うのも賢い選択肢になります。