独自ドメインが反映されるまでの時間について

.comや.jpといった各種独自ドメインを新規取得しても、すぐにそのまま使えるようになるわけではありません。取得後、まずは「そのドメイン名にアクセスしたとき、実際に見に行くべきサーバーはどれか」を紐づけなければなりません。

この紐づけを行ってくれるのがDNSサーバー(ネームサーバー)という存在です。最初に行うべきは、そのドメインに対してDNSサーバーの指定を行う、という作業になります。方法は各レンタルサーバー会社のマニュアルに記載があるはずです。

※レンタルサーバー会社にドメイン取得も代行してもらった場合、DNSサーバー設定はユーザー自身で行わなくていい場合もあります。

なおDNSとは「ドメイン・ネーム・サービス(Domain Name Service)」の略称で、ドメイン名とサーバーの住所(IPアドレス)を紐づけるものです。ブラウザにドメイン名を含むURLを入力した際も、このDNSによって対象となるサーバーのIPアドレスが分かり、実際にはそのサーバー上のファイルにアクセスしています。

ただし、DNSサーバーの設定を行っても、即座にそのドメインで自分のホームページが表示されるわけではありません。数時間~最長で数日にわたる待ち時間が発生します。

なぜドメイン反映に時間がかかるのか

ドメイン取得サービス(レジストラと言います)で新たに独自ドメインを取得した場合、その情報がより上位のドメイン管理組織(レジストリ)に渡ります。さらにレジストリでデータベースが更新されるのを待ち、そこではじめてドメイン名でのアクセスが可能になります。

もっとも、以前に比べると反映までの時間はかなり短縮されています。とくにレジストリでのデータベース更新に関しては、たとえば「.com」であれば数秒おき、「.jp」でも15分おきに更新されています。

ただ、それでもレジストラでの最初の情報更新に時間がかかるためか、あるいはレジストリのメンテ時間があったりなどで、実際には最短でも1、2時間程度はかかることが多いです。余裕を見るなら、長くて24時間程度はかかると考えた方が安全です。

サーバー乗り換えの場合について

DNSの浸透問題

なおドメインと時間に関しては、サーバー乗り換えの際にもよく問題になります。

たとえば、ドメイン名はこれまでと変えることなく、なおかつサーバーをA社からB社に乗り換えたいとします。一見すると、DNSサーバーをA社のものからB社のものに切り替えればいいだけと思いがちですが、実際にはこれだと少し問題が生じます。
※ドメインは、お名前.comやムームードメインなどのレジストラで管理、DNSサーバーはレンタルサーバー会社のものを利用、と仮定しています。

というのも設定を変更してしばらくのあいだ、古いA社のサーバーに繋がってしまうことがあるからです。これは一般には、DNSの浸透(または伝播)に関する問題と言われることが多いです。

なぜこうした問題が起こるかというと、DNSには「キャッシュサーバー」というものがあるからです。これは簡単に言ってしまうと、(負荷を減らすために)一度IPアドレスが判明したドメイン名に関しては、一定時間は再調査を行わないという機能です。

せっかくB社のDNSサーバー指定に切り替えても、(キャッシュの更新タイミングが来るまでは)そのことを調べに来てくれません。つまり、以前のA社のサーバーへとアクセスしに行ってしまいます。

このキャッシュの期限が切れて更新されるタイミングは、キャッシュサーバーごとにまちまちです。そのため新たなB社との紐づけ関係は、世界中に少しずつ浸透(普及)していくように見えます。このことから「浸透」や「伝播」という表現がよく使われます。

浸透を回避する手段もある

ただし、状況によっては浸透問題を避けることは可能ではあります。

もっとも大きな問題はキャッシュが長く残りなかなか更新されないことにありました。ということは、そのドメインの情報をキャッシュする期間を短く指定できればいいわけです。実際、DNSサーバーの設定には「TTL」と呼ばれるものがあり、キャッシュ期間を秒数で指定できます。

たとえばTTLがこれまで24時間だったものを、10分に変更したとします。そうすると(その変更時点から最長24時間経過後は)どのキャッシュサーバーも10分おきにキャッシュを更新するようになります。

この状態になってから、次にA社のDNSの設定(Aレコード)を書き換えて、B社のサーバー(のIPアドレス)を指定します。そうすれば最長で10分後には、ユーザーはどのキャッシュサーバーを経由した場合でもB社のサーバー上の情報を閲覧します。

その後、TTLの数値を元に戻します(TTLが短いままだと負荷が高くなり問題になります)。そしてドメインに対するDNSサーバーの指定を、ここでやっとB社のものに切り替えます。そのままA社とB社のDNSサーバーをしばらく並行運用したあと、最終的にはA社は解約します。

ただ、VPS等ではともかく、一般的な共用レンタルサーバーのDNSにおいてユーザーがTTLを変更できるところは多くありません(さくらなど一部サービスでは可能です)。またサーバーやDNSに関する知識も必要となるため、初心者にはおすすめしません。

またこの記事では、具体的な手順は簡略化して説明しています。実際に行う際には自己責任の上、各レンタルサーバーのサポートに事前に問い合わせたり、その他より専門的なサイトの情報もあわせてご確認ください。

参考記事

「DNSの浸透待ち」は回避できる――ウェブ担当者のためのDNS基礎知識 – INTERNET WATCH

DNSサーバーのお引越しの正しい手順とDNSの浸透問題 – ohsexybabyのWebログ

DNS の浸透を早く確実に行うためには – YamadaBlog

DNSサーバーの引っ越し ~トラブル発生を未然に防ぐ手順とポイント~ – JPRS (PDF)