VPSや専用サーバーの中には「マネージド」であることをアピールポイントにしているサービスが存在します。ですが、サーバー運用経験が少ない方にとってはこの用語の意味が分かりにくいと思いますので、このページで解説します。
マネージドとは
英語の「manage(管理する)」の受身形である「managed」をカタカナに直して「マネージド」と表記しています。つまりそのまま訳すならば「マネージドサーバー = 管理されているサーバー」ということになります。
では、この「管理」とはそもそもなにを意味するのか。これはサーバーを安全・快適に稼動させておくための保守作業全般を意味しています。
サーバーの安全性を保つ
具体的に一つ例を挙げるならば、たとえばOSの更新作業が挙げられます。普段一般ユーザーが使うWindowsのパソコンであっても、定期的にWindowsUpdateと呼ばれる更新が行われて、セキュリティ上の問題の修正(パッチ配布)などが行われます。
レンタルサーバーに採用されるOSの多くはLinux/Unix系列ですが、これらOSでも定期的に更新作業を行って最新の状態に保つことが必要です。そうでなければ、セキュリティホールなどを突かれて、データの損失や流出に発展してしまう危険があります。
もちろんこれは一例であり、このほかにもファイアウォールの構築と更新、サーバーが停止していないかを調べる死活監視など、多くの保守管理作業があります。
共用サーバーはすべて管理されている
しかし一般的なレンタルサーバー、つまり(複数のユーザーが一台のマシンに同居するタイプの)共用サーバーにおいては、こうした管理作業をユーザー側が気にする必要はありません。
これは共用サーバーにおいては、事業者側がそのマシンのメンテナンスを行う責任があるからです。日常の例にたとえるならば、賃貸マンションにおいてはその設備の修繕は管理人が行うのと同じになります。
VPSや専用サーバーにおけるマネージド
root権限を与えられる意味と責任
共用サーバーの場合、マネージドであることがいわば暗黙の了解(前提)となっているため、わざわざ公式サイト上で「マネージドです」と明記することは少ないです。しかしながら、VPSや専用サーバーの場合は状況が違ってきます。
前述したマンションの例を使うならば、VPSは分譲マンションの一室、専用サーバーは一戸建ての家のようなものです。こうしたサービスではroot権限と呼ばれる「管理者」権限をユーザー自らが持つこともできます。
root権限を持つと、自分のサーバーに対してどんな自由な命令でも出せるようになり、アプリケーション等もどんなものでもインストール可能です。室内を自由にリフォームしてもいいのと同様、というわけです。
しかしながら、これは同時にすべての作業が「自己責任」であることにもなります。たとえばセキュリティパッチを当てるのを忘れてトラブルに見舞われても、サーバー事業者側を責めることはできません。root権限をもらえるということは、そうした保守管理も含めて、すべての作業がユーザーに委ねられるということだからです。
保守管理を任せられるタイプのサービス
しかしながらVPSや専用サーバーの利用ユーザーには、こうした手間のかかる保守管理を行わずにすませたいと考える方もいます。あるいはそもそもroot権限が必要なかったり、root権限を用いての作業を行うだけの知識がない場合もあります。
とくに専用サーバーにおいては、root権限の有無よりもサーバーを一台まるごと専有できるというスペック上の強みが重視されることも多く、こうした場合はむしろ管理者権限でユーザーが色々と作業をしなければならないというのはデメリットになってきます。
そこで現在では、root権限をユーザーに渡さないかわりに保守管理はすべて事業者側で行う「マネージド型のVPSや専用サーバー」が存在します。
※ただし、現状ではマネージド型のVPSはスペック上の優位性が共有サーバーと比べてさほどありません。そのため当サイトでは全体として(VPSに関しては)root権限付きサービスを紹介することが多くなっています。