最近ではレンタルサーバーのディスク容量も大容量化してきましたが、これに伴ってメールをサーバー上に置いたまま運用する「IMAP」が利用されるケースも増えてきました。
ただし、このIMAPをより快適に利用するためには幾つかのポイントがあります。ここではそのポイントと条件を満たしているサービスについて解説します。
IMAP利用におすすめのレンタルサーバー
どのサービスがおすすめなのかをすぐに知りたい方もいると思うので、いきなりですが結論を最初に示しておきます。IMAP導入という観点から見た場合、推奨サービスは下記の2つになります。
- 推奨:WebArena SuiteX(スタンダードプラン)
- 次点:CPI(ACE01プラン)
サービス | 初期費用 | 月額 | IMAPS | メール ボックス |
容量 | メール領域 | スパム対策 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
SuiteX | 無料 | 1,470円 | ○ | 制限なし | 300GB | 可変 | BrightmailAntiSpam (Symantec) |
CPI | 無料 | 4,104円 | ○ | 制限なし | 無制限 | 無制限 | IRONPORT (Cisco) |
- ※初期費用および月額は年間(12ヶ月)申し込みをした場合の金額を記載しています。
- ※WebArena SuiteXはスタンダードプランでクレジットカード払いを選択した場合の金額を記載しています。
この2つのサービスを選んだのは、いずれもセキュリティ(IMAP over SSL)、容量(メールボックス&メール領域の容量)、迷惑メール対策(高機能スパムフィルタ)のすべての基準で高評価となったためです。
なおスペックだけを見るとCPIの方が優れている部分もあるのですが、月額にして2倍以上の開きがあるため、コストパフォーマンスも加味してSuiteXを最高評価としました。
基準1:IMAP over SSL(IMAPS)対応
ここからは上記のサービスを選出した基準について、さらに詳しく解説していきます。まずIMAP over SSLについてです。
IMAPではメールサーバーと通信を行うことで、メールの閲覧・送信を行います。しかしこのとき、通常のIMAPのままでは通信の暗号化は行われておらず盗聴の危険があります。そこでSSLサーバ証明書による通信暗号化(IMAP over SSL)を行うことで安全性を高めます。
なお、この場合のSSLサーバ証明書は(ウェブサイト上の問い合わせフォームにSSLを導入するような場合と異なり)ユーザー側で購入する必要はありません。レンタルサーバー事業者側が用意しているものを利用できます。
選出したSuiteX・CPIともにIMAP over SSLには対応しており、この基準を満たしています。
※じつを言うと、代表的なレンタルサーバーでIMAPが使えるところはすべてSSL対応もしていましたので、この点では選外になったサービスはありませんでした。しかし重要ポイントであることに変わりはないため基準の一つとして取り上げました。
基準2:メールボックスの容量
次に重要なのがメールボックスの容量です。IMAPでは長期にわたってメールをサーバー上に溜め込むことになるため、各アカウントごとのメールボックスのサイズが小さいと、すぐにいっぱいになってしまいます。
ただ、どのぐらいの頻度でメールを整理するか(サーバー上の古いメールを削除するか)という運用方法によっても必要な容量は変わってきます。それこそ毎月整理するようであればさほど容量はいりませんし、逆に一年以上など保管するのであれば大容量が欲しくなります。また添付ファイルを多用する場合なども、容量不足に悩みやすくなります。
一律に何GB以上という数値目安を言えないこともあり、ここでは「多いに越したことはない」という方針で評価を行いました。
当サイトで紹介しているような代表的なレンタルサーバーでは、少ないところで1GB上限、平均的なところで2GBあたり、多めに設定できるところで5GB~10GBあたりでした。
なおSuiteXとCPIに関しては、個別メールボックスのサイズ設定に上限がありません。非常に柔軟な対応が可能になっており、この基準でも高評価となりました。
基準3:メール領域全体の容量
ただし個別メールボックスの容量を大きく設定できても、そもそも全体のディスク容量が少ないと、実際に運用できるアカウント数は少なくなってしまいます。とくに会社で社員全員にメールアドレスを割り当てる場合などには注意が必要です。
やはり基本的には大容量であればあるほど良いわけですが、気をつけたいのは「メール領域にどれだけ割り当てられているか」です。たとえば100GBの容量があってもWEB領域(ウェブサイト設置のための領域)が90GBの場合、メール領域としては10GBしか使えません。
WebArena SuiteXに関してはディスク全体が300GBとかなり多めにある上に、「ディスク容量配分」という機能によってWEB領域とメール領域の配分を変更できます。IMAP利用に伴ってメール領域を多く使いたい場合でも自由に対応できます。
またCPIに関してはそもそも「ディスク容量が無制限」となっており、これはメール領域についても同様です。基本的には容量不足の心配は不要です。
※ただし共用サーバーのため、極端に占有率が高くなるほどの大容量を利用する場合には制限がかかる場合があるとのことです。
基準4:迷惑メール対策
IMAPは原則として毎回メールサーバーにすべてのメールを取りに行くため、ただでさえ処理が重くなります。これは受信メールが溜まるほどに顕著になる問題でもあります。くわえてここに大量の迷惑メールまで受信してしまうと、負荷はさらに高まります。
もちろんスパムメールは削除すればいいわけですが、選別の手間も大変です。またそれこそIMAP経由で削除などの処理を行おうとすると、その作業そのものの処理が重くて大変だったりします。
しかしメールサーバー到達時点で高性能なスパムフィルタによって自動選別ができると、その後の手間がぐっと減るため、IMAPでも運用しやすくなります。
ただレンタルサーバーでは無料ソフトのSpamAssassin(スパムアサシン)を用いて迷惑メール対策を行っていることが多いですが、精度の点ではいまひとつな部分があります。
これに対して企業製の高機能スパムフィルタを導入している場合、非常に高精度でスパムを排除できます。
(参考記事:誤検知ほぼゼロ!迷惑メール対策に優れたレンタルサーバー)
この基準についても、SuiteXはSymantec(シマンテック)社の「Symantec Brightmail AntiSpam」、CPIはCisco(シスコ)社の「IRONPORT」という高品質ツールを導入しており、安心しておすすめできます。
まとめ
以上の4つの基準から評価していった結果、記事冒頭にも示したようにSuiteXとCPIが候補として残りました。
このうち最終的にSuiteXを推したのはコストパフォーマンスの観点からです。SuiteXは月額1470円とビジネス向けレンタルサーバー全体で見ても低価格の部類に入ります。一方でCPIは月額4000円以上とかなり高額になり、予算に余裕がある方向けとなります。
(WEB領域とメール領域あわせて)300GB以内で運用できるようであれば、現時点ではWebArena SuiteXのスタンダードプランが、IMAP利用にもっともおすすめです。