ABLENETは転送量無制限をアピールポイントにした老舗レンタルサーバーです。
総合評価:74点
転送量が無制限
ABLENETの特徴は、なんといっても転送量無制限です。
無論、他社のレンタルサーバーでも「転送量無制限」と記載しているところはあります。しかし、実際には「一定以上の転送量があっても追加料金をとらないだけで制限はする」というものが多くあります。
これに対してABLENETは、文字どおりに「転送量に具体的な数値制限を設けていません」。これができるのはSoftbankやKDDIなど複数の大手業者の回線を同時利用しているからです。
過去の実例
なお過去には、実際の転送量上位5ユーザーを毎月公開するといった試みも行っており、私が知るかぎりでは、月間50TB(≒50,000GB)を超えているユーザーがいたこともあります。
※2015年4月時点で月間53TBを利用しているユーザーが確認できました。
これは2021年現在から見ても大きな数値ではありますが、2015年当時としてはまさに圧倒的といっていい数値でした。当サイトでも長らく、転送量重視の方にはABLENETをおすすめしていたのはこれが根拠の一つでした。
※ただし注意点でも後述しますが、2021年現在においては大きな強みではなくなってきています
運営20年以上の実績
それから運営元である株式会社ケイアンドケイコーポレーションは、1998年にレンタルサーバー事業を開始、これまで20年以上という長い運営実績を誇る企業でもあります。レンタルサーバーやホスティングはまだ業界自体も新しいですが、そのなかで20年越えというのは老舗といえるほどの実績です。
たとえばレンタルサーバー事業でとても有名な「さくらのレンタルサーバ」があります。しかしその運営元のさくらインターネットでさえ1999年創業ですので、それよりもさらに以前から運営が行われています。
注意すべきことは?
一方、ABLENETは注意すべき点も多めのサービスです。
初心者には不向き
まず、ABLENETはあまり初心者向きのレンタルサーバーではありません。その大きな理由として「ユーザー自身で操作しなければならない機能が多い」ことが挙げられます。
たとえばウェブサイト作成・管理ツールとして人気のWordPress(ワードプレス)ですが、他社ではボタン一発でインストールできる機能を用意しているところも多いです。
しかしABLENETの場合、(簡易インストールと呼ばれる機能は一応あるものの)MySQLデータベースの作成などの初心者がつまずきやすい部分は、ユーザー自身で行わなければなりません。また、MySQL自体についても定番の管理ツールである「phpMyAdmin」は初期状態では利用できず、自分で管理画面からインストールしなければなりません。
そのほかメールのウイルスチェックが有料オプション扱いになっているなども、レンタルサーバーに慣れていない方が選ぶには不向きな要素です。もし初心者でも使いやすいサービスをお探しの場合は、格安の定番であるロリポップ!、あるいは総合的なバランスのとれたエックスサーバーをおすすめします。
独自SSLは利用不可
また独自SSLの利用ができない、というのも注意すべきポイントです。ただ、そのかわりに共用SSLに関して機能が強化されています。
共用SSLではサーバ証明書を他ユーザーと共同利用するため、SSL利用時のアドレスが、自分のドメインと異なるものになってしまうのが普通です。これがユーザーに不安を与える一因になります。しかしABLENETの共用SSLの場合、ブラウザのアドレスバーには自分のドメインが表示されたままになります。
ただ本質的には共用SSLであることに変わりはないため、(鍵マークなどから)証明書の情報を表示させれば独自SSLでないことは分かります。そのため信頼性証明という面ではやはり不安が残ります。また、この共用SSL機能自体も有料オプション(月額880円)になっています。
強みが徐々に消失
また個人的な印象としてですがABLENETの今後の展開は、(2021年現在では)かなり不透明だと感じています。
理由の一つとしては、他の注意点でも述べたとおり、他サービスで一般的となっている機能がいまだ提供されていないことがあります。基本的にレンタルサーバーは、こまめに機能・スペック更新を行っていくか、もしくはややスパンを空けて大きめのアップデートを行っていくのが普通です。
しかしABLENETは、基本的な機能が長年大きく変わっていません。2010年代半ばならともかく、いまとなっては正直言って物足りない面が多いです。
さらに大きなウリである転送量無制限ですが、これも2020年5月を境にのデータを公開がされなくなっています。その最後のデータに関しても、最上位ユーザーでも13TB程度です。
昨今、他社のレンタルサーバーも転送量が飛躍的に伸びており、エックスサーバーやConoHa WINGでは月間27TB~45TBまで緩和されています。こうなってくると、現状ではABLENETを強くおすすめできる理由はなくなってきているように感じます。
評価まとめ
注意点を多く記載しましたが、このほかにもマルチドメインの追加時に費用が必要など、一般的なレンタルサーバーとは使い勝手が異なる部分が多めなのは確かです。
それでも以前は、他社とは一線を画す転送量無制限がウリとなり、独自の強みを持っていました。ただ、現在では他サービスの転送量が緩和されてきたことで強みを失いつつあります。
アクセスが非常に多い人気サイトを運営する場合でも、高速性・安定性といった面から見ても、エックスサーバー、ConoHa WING等の方がおすすめです。
ただ20年以上続く老舗サービスであることから、どこかでサービス継続のために大々的にリニューアルすることも考えられます。ぜひ今後に期待したいところです。
料金と機能
機能 | プチ | パーソナル スイート |
ソーホー スイート |
ビジネス スイート |
---|---|---|---|---|
初期費用(税込) | 5,478円 | |||
月額(税込) | 275円 | 917円 | 1834円 | 2750円 |
ディスク容量 | 50GB | 200GB | 300GB | 400GB |
メールアカウント数 | 1個 | 無制限 | ||
メール関連機能 | ||||
メール転送 | ○ | |||
メール自動返信 | ○ | |||
Webメール | ○(携帯対応) | |||
メールウイルス駆除 | 有料OP | ○ | ||
スパム対策 | ○ | |||
高機能スパム対策 | – | |||
ドメイン関連 | ||||
マルチドメイン | × | 有料OP (最大10個) |
有料OP (最大30個) |
有料OP (個数無制限) |
サブドメイン | × | |||
その他機能 | ||||
FTPアカウント数 | 1個 | |||
webdav | – | |||
cron | × | |||
SSH | × | |||
転送量 | 無制限 | |||
CGI・プログラム関連 | ||||
独自CGI | ○ | |||
Perl | 5.8.x | |||
PHP | × | 4.x/5.x | ||
Python | ○ | |||
Ruby | – | |||
データベース関連 | ||||
MySQL | × | 5.0.x | ||
MySQLのDB数 | × | 10個 | 50個 | 100個 |
PostgreSQL | × | 9.2 | ||
PostgreSQLのDB数 | × | 10個 | 50個 | 100個 |
SQLite | – | |||
データ保全 | ||||
RAID | RAID1 | |||
外部バックアップ | ○ | |||
データ復元 | × | |||
SSL | ||||
共用SSL | 有料OP | |||
独自SSL取得代行 | × | |||
独自SSL持ち込み | × | |||
CMSの利用 | ||||
MobableType | × | ○ | ||
WordPress | × | ○ | ||
サポート | ||||
電話サポート | × | |||
その他サポート | メール | |||
申し込み関連 | ||||
支払い方法 | カード/コンビニ | |||
領収書発行 | × | |||
お試し期間 | × | |||
備考 | プチのみ商用利用不可 |
- ※「×」は対応不可、「-」は対応不明を表しています。
- ※月額は年間(12ヶ月)申し込みをした場合の金額を記載しています。