RAIDによるデータ保全

レンタルサーバーを借りる上で重視しなければならないポイントのひとつに、データの安全性があります。

サーバー上にはたんにホームページやブログのデータを置くだけではなく、日々書き込まれる掲示板のログや、ECサイトなどの場合によっては顧客データ、各種の個人情報など、重要性の高いデータが詰まっています。

そのため、災害や故障などのトラブルがあった際にも、データを保全するための多くの仕組みをレンタルサーバーでは採用しています。

そのデータ保全のシステムとして代表的なのが、RAIDによるデータ保全です。

RAIDとは

RAID(レイド)は「Redundant Arrays of Independent Disks」の頭文字をとったもので、複数のハードディスクを利用することで、データの安全性やアクセス速度の向上を目的としたシステムです。

通常、パソコン及びサーバーマシンでは、データはHDD(ハードディスク)に格納されます。
ただし、単一のハードディスクにのみ保存しておいた場合、障害や故障でそのハードディスクが物理的に破損してしまうと、データの復元が不可能になります。

ハードディスクはどうしても故障とは無縁でいられない製品であるため、こうした事故を防ぐためには、複数のハードディスクを用意しておくしかありません。
この複数のディスク利用のために考えられたシステムがRAIDになります。

RAIDの種類

データの信頼性を高めるために考案されたRAIDですが、その後にはディスクアクセス速度の向上などの目的も追加され、現在では数種類が存在します。

以下、代表的なものについて紹介します。

RAID0

RAID0は、データの安全性を高めるためのものではなく、アクセス速度の向上を狙ったものです。そのため二台のハードディスクを利用するものの、どちらかのディスクが故障すると、データは失われてしまいます。

RAID1

RAID1は、サーバーのデータを保全するためにもっともよく使われるシステムです。

二台以上のハードディスクに、同時にまったく同一のデータを書き込んでいくため、なんらかのトラブルで一台が壊れても、他のハードディスクが一台でも動いていれば、そのまま運用をつづけることができます。

全ハードディスクが同時に壊れない限りはデータが失われないというメリットがあります。
しかしその一方で、多数のハードディスクを必要とするという部分が(レンタルサーバー業者にとっては)デメリットでもあります。

RAID5

RAID5は、ディスクアクセス速度の向上と、データの信頼性向上を同時に可能にするもので、RAID1ほどではありませんが採用している業者が多いシステムです。

RAID1のように複数台に同一データを書き込むのではなく、データ復元のための情報を各ディスクに分散しておいておくことで、ディスクのいずれかが壊れても復元を可能にしています。
ただし欠点として、二台以上が同時に壊れた場合は復元ができない、というリスクが存在します。

RAID6

RAID6は、RAID5の問題点だった「二台以上が壊れるとデータ復元できない」を解決するために、データ復元のための情報を二種類用意しています。そのため、万が一、二台以上のディスクが同時に壊れても、なおデータ復元ができます。

RAID6はRAID5の進化形といえますが、そのぶん採用している業者はまだそこまで多くないです。
しかし、当サイトでもおすすめしているWADAXなど、データ保全への意識の高い企業では標準提供されていることもあります。

その他のRAID

これ以外にも、RAID2、RAID3など現在ではほとんど使われないものや、複数のRAIDを組み合わせる方法なども存在します。
より詳しいことが知りたい場合は、Wikipediaなどを参照されることをおすすめします。

・RAID – Wikipedia

まとめ

レンタルサーバー業者の記述によっては、こまかいバージョンを記さずにRAIDとだけ記述してあることもありますが、その場合はRAID1を指していることがほとんどです。

それだけ、RAID1による二重データ保全が一般的だということです。
またRAID1は、データを複数同時に保存することから「ミラーリング」とも呼ばれます。

なお信頼性という面で、あえて単純に比較をするなら、以下のように言えます。

RAID6 > RAID1 ≒ RAID5

RAID1もRAID5も二台以上が同時に壊れたらデータが失われるという点では、RAID6よりもリスクが大きくなります。
ただし、上の比較はごく単純なもので、RAID1を二台以上で構築する場合など、条件によって色々変わってきますのでも、あくまでも参考程度にしておいてください。

いずれにせよ、ECサイトなど、とくに重要なデータを扱う場合は、RAID1/RAID5/RAID6を採用しているレンタルサーバーをおすすめします。