すずめ配列

すずめ配列は、mikadoさんの考案された素晴らしい配列「つばめ配列」にインスピレーションを受けて作った配列です。
配列の名前も、つばめと同じ鳥類から拝借させていただきました。

この配列は私自身が使いやすかどうかだけを念頭において作られており、悪指とか交互打鍵とかそういったことについても、十分な研究データがあるわけではありません。そのため、かなり人を選ぶ配列だと思います。
というか、ホームポジション系配列に興味のある方は、まずはつばめ配列を試されることをおすすめします。

なお、つばめ配列と出会った経緯については、こちらのブログ記事をご覧ください。私のキーバインド遍歴についても合わせて書いてあります。

すずめ配列について

概要

すずめ配列は「ほぼホームポジションのみ」で日本語を打てるように考えられた「ローマ字入力」の配列です。配列としては行段系というものに属します。

ホームポジションでの打鍵を増やすために、同一のキーであっても一打目と二打目で入力される文字が異なるようになっています。たとえば「K」のキーは一打目では子音の「か」を表しますが、二打目の場合は母音の「I」となります。

子音に関しては「K」で「か行」、「S」で「さ行」などQWERTYを踏襲しており、また母音についてもなるべくQWERTYに近い位置のキーを採用しているため、QWERTYからの乗り換えはしやすいと思います。

すずめ配列の特長・他配列との違い

同様のホームポジション系配列としては、この配列の元となった「つばめ配列」、それから同じmikadoさん作による完全ホームポジションの「ひばり配列」があります。

これら配列とすずめ配列が一番違うのは、濁音・半濁音の入力に関して、子音の連続入力を採用していることだと思います。ようするに「が」を入力する場合であれば、「KKA」と打鍵します。

これにより打鍵数は増えますが、異手清音・同手濁音という仕組みが不要になるため、指が覚えるべき母音の位置が格段に減り、学習コストが削減できます。

またすずめ配列では、本来ホームポジションであるセミコロン(;)キーにローマ字が割り当てられていません。これは私がセミコロン(;)をEnterキーの代用に使っているという個人的な理由によるものです。 ただし、人によってはここに自由にキーを割り当てられるため、配列の改造がしやすいかもしれません。

配列の方向性

この配列はタイピング速度・文字入力速度の向上というよりは、日本語の文章をより「楽」に打つために考えたものです。
なお、ここで言う「楽」とは指が疲れないという意味ではなく、思考を妨げずに文章を出力していくのが「楽」という意味で使っています。

この「思考を妨げない文字入力」を考えると、入力速度以上に、タイプミスがないことが私にとっては重要です。理想を言えば、紙にペンで文字を書いているときのように、ほとんどミスなく入力できるような配列を目指しています。

このタイプミスを減らす配列を探していたときに出会ったのが「つばめ配列」であり、ほぼホームポジションしか使わないため指が絡まない、という発想に感動しました。
その後、セミコロンをEnterに使いたいなどの個人的な理由を勝手に足していって作ったのがこの配列です。

すずめ配列での入力方法

2打鍵での入力(主な清音)

1打目(行)
|小|薬|中|人|伸|両手|伸|人|中|薬|小|
| | | | | |上段| | | | | |
|あ|さ|た|ら| |中段| |は|か|ま| |
| | | |や| |下段|な| |、|。| |

2打目(段)
|小|薬|中|人|伸|両手|伸|人|中|薬|小|
| | | | | |上段| | | | | |
|あ| |え| | |中段| |う|い|お| |
| | | | | |下段| | | | | |

子音はQWERTYに倣い、QWERTYと同じキー、ないしはそのキーが使えない場合はなるべく近い位置にあるキーを利用するようにしています。

上記のほか、長音(ー)はや行のえ段(V→D)を使います。

3打鍵での入力(わ行、濁音ほか)

わ行、濁音・半濁音、撥音を入力するには、子音のキーを連続打鍵します。

1・2打目(行) ※同じキーの連続打鍵
|小|薬|中|人|伸|両手|伸|人|中|薬|小|
| | | | | |上段| | | | | |
| |ざ|だ|わ| |中段| |ば|が|ぱ| |
| | | |っ| |下段|ん| | | | |

2打目(段)
|小|薬|中|人|伸|両手|伸|人|中|薬|小|
| | | | | |上段| | | | | |
|あ| |え| | |中段| |う|い|お| |
| | | | | |下段| | | | | |

同手同指の3連続打鍵の回避

すずめ配列では濁音の入力に子音連続打鍵を使うため、そのままだと一部の文字に関して同手同指の連続3打鍵が発生してしまいます。

たとえば「ぎ」の入力だと、打鍵するキーは「KKK」となってしまいます。
が行の言葉が続く場合はさらに悪く、たとえば「ギガ(バイト)」であれば「KKKKKA」と「K」が5連続打鍵になります。これではキー打鍵数を間違いやすく、タイプミスに繋がると思われます。

そこでこの問題を避けるため、子音と母音が同じとなる文字(例:「き」=「KK」)は、母音を反対側の手のキーに移動する、という例外的措置をとっています。
また「き」「て」のような高頻度のキーはホームポジションから指を動かさずに打ちたい、などの理由でこれに伴って一部のキーマップを変更しています。

具体的には、以下の6つの文字(濁音・半濁音含めると12文字)がこれに当たります。

▽き・け(ぎ・げ)

1打目(行)
|小|薬|中|人|伸|両手|伸|人|中|薬|小|
| | | | | |上段| | | | | |
| | | | | |中段| | |か| | |
| | | | | |下段| | | | | |

2打目(段)
|小|薬|中|人|伸|両手|伸|人|中|薬|小|
| | |え| | |上段| | | | | |
| | |い| | |中段| | | | | |
| | | | | |下段| | | | | |

※本来は中段の左手中指は「え段」だが、「け」よりも「き」の方が高頻度のため入れ替え。
※かわりに上段の中指を「え段」に設定。

▽ち・て(ぢ・で)

1打目(行)
|小|薬|中|人|伸|両手|伸|人|中|薬|小|
| | | | | |上段| | | | | |
| | |た| | |中段| | | | | |
| | | | | |下段| | | | | |

2打目(段)
|小|薬|中|人|伸|両手|伸|人|中|薬|小|
| | | | | |上段| | |い| | |
| | | | | |中段| | |え| | |
| | | | | |下段| | | | | |

※本来は中段の右手中指は「い段」だが、「ち」よりも「て」の方が高頻度のため入れ替え。
※かわりに上段の中指を「い段」に設定。

▽ふ(ぶ)

1打目(行)
|小|薬|中|人|伸|両手|伸|人|中|薬|小|
| | | | | |上段| | | | | |
| | | | | |中段| |は| | | |
| | | | | |下段| | | | | |

2打目(段)
|小|薬|中|人|伸|両手|伸|人|中|薬|小|
| | | | | |上段| | | | | |
| | | |う| |中段| | | | | |
| | | | | |下段| | | | | |

▽も(ぽ)

1打目(行)
|小|薬|中|人|伸|両手|伸|人|中|薬|小|
| | | | | |上段| | | | | |
| | | | | |中段| | | |ま| |
| | | | | |下段| | | | | |

2打目(段)
|小|薬|中|人|伸|両手|伸|人|中|薬|小|
| | | | | |上段| | | | | |
| |お| | | |中段| | | | | |
| | | | | |下段| | | | | |

文章や文字一覧にするとやや複雑ですが、
ようするに「子音→母音と押すときに同手同指の連続打鍵にはならないように」しています。

拗音拡張

この配列は拗音拡張(「きょ」=「KYO」のように三打で入力する)をサポートしています。拗音拡張は、や行を割り当てているVキーを使うことで入力できます。

例:きゃきゅきょ

子音の連続打鍵で濁音がサポートされる点も同じです。

例:ぎゃぎゅぎょ

あ行の拗音も同様にや行(Vキー)を使います。

その他のQ&A

Q:なぜ濁音に子音の連続打鍵を採用?

A:
他のホームポジション系配列では、母音を左右両指どちらにも割り振ることで、1打目と2打目が同手であれば濁音、異手であれば清音という方式をとっていることが多いです。

これに対してすずめ配列では、子音の連続打鍵で濁音を入力します。これはQWERTYに比べても明らかに打鍵数が増えますし、あまり効率的ではありません。
それでも、この子音連続打鍵を採用したのは主に三つの理由によるものです。

一つ目は、特長説明でも少し書きましたが、左右両指に母音を割り振らずに済むため、母音の位置を指が記憶するための学習コストが減らせることです。とくに母音はQWERTYのキーにごく近い位置のキーを採用しているため、指覚えはかなり良いと思います。

二つ目に、個人的に打ちづらい運指を減らすためです。私はどうも左手の薬指の混じる運指が苦手で、とくに2打目に薬指が混じるとかなり打ちづらさを感じます。そのため既存の同手濁音だとAS、DS、FSが辛いです。(右利きということもあってか、右手薬指はそこまでは負担に感じません)子音連続打鍵では、幸いにもこれらの打鍵は発生しません。

三つ目に、セミコロンをEnterとして利用するというキーバインドのため、右手側で母音を配置するキーが足りなくなった、という単純な理由があります。

以上のように、いくらかの合理的な理由と多分に身勝手な理由の結果、この子音連続打鍵で濁音という方式が生まれました。

Q:なぜGHのキーではなくVNを使用?

A:
これも他配列との比較になってしまうのですが、ホームポジションを中心とする配列の場合、ASDFJKL;に加えて、GHを利用する場合が多いです。

ですが、GHのキーに人さし指を伸ばすと、(自分の手が小さいせいもあって)他の三指もつられて少し水平方向に移動してしまい、指のあるキーがどれか混乱しやすく感じました。そこでGHよりもさらに指伸の距離が少なく済むVNを採用しています。

Q:セミコロンでEnterとは?

セミコロンでEnterを代用するという発想は「禁断の快楽・変態キーバインドのお誘い」に触発されて数年前に始めたものです。

慣れるとこれは非常に快適で、変換・確定という主要機能のうち、変換のスペースキーはホームポジションから使えるのに、なぜEnterキーは手を動かさないといけない位置にあったのか、と疑問になるほどです。

なお、セミコロンをEnterキーの代用に使うということ自体は、このすずめ配列では実装していません。私の場合は、WinXP環境ですので、窓使いの憂鬱というフリーソフトを利用しています。なおVistaや7でも後継ソフトがあります。興味のある方はぜひ試してみてください。

設定ファイルのダウンロード

すずめ配列は、いまのところDvorakJの設定ファイルのみ公開しています。

→ すずめ配列DvorakJ設定ファイル

※右クリックから「名前を付けて保存」して、DvorakJのuserフォルダに入れて使用してください。

最終更新日:2011年5月4日 バージョン:1.0